一皮むけた姿に注目だ。北海道コンサドーレ札幌MFチャナティップ・ソングラシン(24)が18日、沖縄・金武町での午前、午後の2部練習に参加。日本で2シーズン目を迎える「タイのメッシ」は、昨年12月に母国で出家し、“一人前”のタイ人男性になった。ミハイロ・ペトロビッチ新監督(60)の下、今季初実戦となる今日19日のJ1V・ファーレン長崎との練習試合(金武町)で新たな姿を披露する。

 新生チャナティップが精力的に動いた。18日午後に行った、今キャンプ初のフルコートを使った戦術練習で、同組のFWジェイと攻撃時の連動を何度も何度も確認した。練習後に「ツカレタ」と疲労感を漂わせた。Jリーグ挑戦2季目を迎え「一生懸命頑張りたい」と自らを奮い立たせた。

 短くなった頭髪は、精神的にワンランクアップした証しだ。昨年12月、母国タイで出家した。頭髪、眉毛を全てそり落とし、寺院で修行した。主に瞑想(めいそう)などで「集中力が高まった」と話す。出家した理由は「親のため。タイではそういうマナー。出家しないと(男として)ちゃんとしていないとなる」。

 タイの習わしで出家は結婚前に行う。異国の地、日本であいさつの際に手を合わせ、練習中にビブスを受け取る際に合掌を忘れない。自国の文化を大切にする24歳は“一人前”のタイ人男性に成長した。髪の毛が少し伸びた頭をさすりながら「サムイ。けど伸二さんと一緒でうれしい」。丸刈りがトレードマークのMF小野とおそろいだと主張し、笑った。

 出家効果で自信を身につけ「自分のためだけじゃなくて、チームのために頑張りたい」と頼もしい。この日、ティワーポル通訳(35)が合流した。前日まで通訳なしで過ごし、練習時の複雑な動きに困惑。ペトロビッチ監督の指示に関して「見て覚えていたけど、わからない部分もあった」と打ち明ける。この日から急ピッチで理解を深め、今日19日の初実戦となる練習試合(対長崎)に臨む。出演する石屋製菓のテレビCMのセリフのように「なまらうまい」プレーを見せる。【保坂果那】