記録的な大雪によるものとはいえ、J1甲府のホーム開幕戦中止という事態は、冬をまたぐシーズンへの移行を目指すJリーグに対して冬季の試合運営の危うさをあらためて突きつけた。

 甲府はボランティアに除雪を呼び掛けるなど、最後までホーム開催に向けた努力を続けたが、この日Jリーグ幹部が視察して中止が決まった。山梨県内には他にJ1を開催できる会場がなく、国立競技場での代替開催でクラブは数千万円の追加支出を強いられる。

 選手にとっても大雪の影響は大きい。宮崎キャンプ後は本拠地に戻れず、当面は静岡県内で調整する。城福浩監督は「市民生活を考えると練習ができるだけで幸せだが、普段の開幕前とはまったく違う」と影響の大きさを指摘する。

 シーズン移行のためには、まずは冬に対応した施設面の整備が条件となる。今回の問題では、万が一の場合のクラブへの金銭的な補償や、代替会場の手配や日程変更に対応するための自治体との関係づくりなど、ソフト面の危機管理の課題も浮かび上がった。