Jリーグが8日、いよいよ開幕する。清水はホーム日本平で大分と対戦(午後3時開始予定)。GK西部洋平(27)はこの試合でJ1通算150試合出場となる。開幕前に左手の突き指で別調整するなどアクシデントもあったが、きっちり開幕に合わせてきた。清水の頼れる守護神が、節目の試合で3年連続開幕戦完封を飾ってチームを波に乗せる。

 J1通算150試合出場の節目に訪れた今季開幕戦の前日。ほぼ万全の状態で迎えることに、西部は高ぶる気持ちをコントロールしながら言葉を噛(か)み締めた。「何とも言えない気持ちですね。心も体も、うまくコンディションはできています」と、ほおを緩めた。

 本来なら、メモリアル出場は自身の誕生日でもある12月1日の昨季最終節・鹿島戦で迎えるはずだった。それが昨年10月、寝坊で練習に遅刻し、1試合の“出場停止”を受けた。「信頼されるGKになる。(努力を)続けるしかない」。いい訳はせず、プレーで答えを出すと心に誓った。

 今季は副主将に指名され責任感がさらに強まった。そんな中、2月8日の練習中に左手の中指と薬指を突き指して離脱。キャンプ中は別調整となり焦りもあったが、復帰後を見据えて足元の練習に打ち込んだ。メモリアルゲームも「誕生日に優勝を見た時でなくてよかった」と前向きに考えられるようになった。ここまで順風満帆ではなかったが、気持ちは切らさず努力を続けてきた。「思ったより時間はかかったけど、ちゃんと間に合わせましたね」。晴れやかな表情が、つらい時期を乗り越えてつかんだ自信と回復ぶりを物語っていた。

 8日の試合には両親や友人も駆けつけるが、気負いはない。「開幕戦はかなり大事。(150試合は)意識しないで、開幕で大事な試合なんだって心に置いて頑張りたい」。指の痛みは少し残っている。それでも自分のため、タイトル奪取を目指すチームの3年連続開幕戦完封勝利のため、西部が大分の前に立ちはだかる。【浜本卓也】