<J1:京都2-1大宮>◇第2節◇16日◇西京極

 元日本代表のFW柳沢敦(30)がホーム開幕大宮戦の名刺代わりの1発で、京都のエースと認められた。1点を先制され沈滞ムードが漂う中、後半1分にゴール前の混戦から試合の流れを変える移籍後初ゴールを決めた。その後も積極的なプレーで2-1逆転勝ちに貢献した。チームのJ1復帰初勝利に花を添える新エースの今季初ゴール。京都は開幕2戦で勝ち点4と上々のスタートを切った。

 両手をたたいて柳沢が声援に応えた。後半ロスタイム、MFアタリバと交代する新エースに、京都サポーターから惜しみない拍手が送られた。直後の試合終了を告げるホイッスルに、スタジアムが歓喜に包まれる。京都の選手として初めてのホームゲームで結果を出せた。「サポーターに認められたいと思っていた。非常にうれしい」。こみあげてくる感情を抑えて言った。

 前半に先制ゴールを許した。ムードも悪く苦しい展開。それを柳沢が打破した。後半開始早々、DF渡辺の左クロスから生まれたチャンスに左足で冷静に流し込む。千金の同点弾は名刺代わりの一発だ。「チームみんなで奪ったゴール。決めることができてよかった」と自然と笑みがこぼれた。

 京都に移籍してサッカーへの情熱がいっそう深まった。1月20日。入団会見の直前に秋田コーチ、DF森岡、同じ新加入のMF佐藤と京都市内のレストランで昼食をとった。全員が夢中になって、互いのサッカー観をぶつけ合った。自然と声も大きくなる。周囲から「あれ、柳沢や」と気づかれ、行列ができた。店員も含めて全員にサインと握手で対応。「サポーターあってのプロ。普通のことをしているだけ」とさらり。親しみやすい人柄も柳沢の魅力だ。

 まずはゴールという結果で周囲の期待に応えた。開幕のアウェー名古屋戦では終了間際に決定的なシュートミスしたが、その悔しさもすぐに晴らした。加藤監督も「開幕戦は緊張していたが、何も心配していなかった。素晴らしいプレーを見せてくれた」と最大級の賛辞。「シーズンは始まったばかり」と気を引きしめる新エースが、今季の京都をけん引する。【奈島宏樹】