日本協会の新理事に内定したラグビー元日本代表監督の平尾誠二氏(45)が、改革論を熱く語った。11日、神戸市内の灘浜グラウンドで総監督を務める神戸製鋼の練習の指揮を執り「外部からの視点でサッカー界を変えていく」と明かした。新会長に就任予定の犬飼基昭Jリーグ専務理事(66)から要請され、12日の評議会、理事会を経て正式に就任する。ラグビー界のカリスマが、日本サッカーのために力を振り絞る。

 犬飼新体制のシンボルは、熱い視点でサッカー界の変革に取り組んでいく。日本協会の新理事に内定後、初めて神戸製鋼の練習の指揮を執った平尾氏は“現場派”らしく、ジャージー姿で改革論を話し始めた。

 平尾氏

 外部からの視点で変えられることはある。サッカーはコンタクト(接触プレー)が弱いという昔からの伝統がある。そういうのをラグビーから取り入れてもいい。フィールドで教えることはできなくても、積極的に自分の意見を伝えたい。

 サッカー界とは10数年前から交流を持っていた。ラグビー日本代表監督に就任した97年には、日本協会の田嶋幸三氏(現専務理事)を練習に招き、プレースキックの指導を任せた。98年にシンガポールで開催されたW杯予選韓国戦には、フランスW杯を終えた直後の岡田日本代表監督を招待している。だからこそ、先月下旬に犬飼氏から新理事の就任を打診する電話を受けても「とって付けた話ではない。昔からの流れもある」と戸惑うことはなかった。

 抱える課題は似ている。人気低迷にあえぐラグビーと同様に、サッカーもA代表の試合でさえ空席が目立つようになった。経営面だけでなく「W杯で勝つ」という現場レベルでの目標も一致する。

 平尾氏

 一緒にスポーツ界をリードしていく姿勢を見せないといけない。サッカーはW杯招致(02年日韓大会)を成功している。そういうところは、ラグビーでも参考になる。

 神戸製鋼の総監督との兼任のため時間は限られる。それでも「やることは限定されるかも知れない。あくまでも現場(監督業)優先で役に立ちたい。日本の縦割り社会を変えたい」と言い切る。日本スポーツ界のため、エネルギッシュに改革を進めていく。【益子浩一】