<練習試合:名古屋1-0磐田>◇2月28日◇ヤマハスタジアム

 日本代表でJ1磐田GK川口能活(33)が、志願の90分間フル出場を果たした。開幕戦(7日、対山形)前最後の対外試合となったJ1名古屋戦に先発。26日の浜松大戦で、右ふくらはぎ痛から復帰をしたが、フル出場は今季初めてだった。チームは終了間際の失点で敗れたものの、90分間を経験し万全の状態で開幕に臨む。

 試合終了の笛が、川口の完全復活を告げる合図だった。約3000人の観衆の前で、名古屋との練習試合に先発フル出場を果たし「90分無事に終わってよかった。自分のコンディションを見るには、足の状態が大事。1試合通してやってみないと分からなかった。でもこれで試合ができる体になった」。疑心暗鬼だった足がフル出場できる状態だと知り、心身ともに完全復活を遂げた。

 志願のフル出場だった。45分間の出場で、実戦復帰を果たした26日の浜松大戦後「名古屋戦は70分か90分の出場になる」と、スタッフから言われた。すると、川口は「自分は90分やりたいと思っている。無理をするつもりはないが、1試合やってしっかり確かめたい」。大事なリーグ開幕を1週間後に控え、ちょうど1カ月後にはW杯アジア最終予選バーレーン戦(28日)もある。この日訪れた日本代表加藤GKコーチにも、復活をアピールした。

 10年ぶりの開幕戦勝利へ、残り1週間準備をする。日本での開幕戦は横浜時代の99年3月6日、平塚(現湘南)に2-0で勝って以来、自身が出場した試合では勝利がない。この日終了間際に失点を許し完封を逃したが、川口は「本番は絶対に抑えたい。ここまでは練習。本番に向けて、試合に勝つために、開幕ダッシュができるようしたい」と勝利宣言をした。

 悩みがなくなり、笑顔も増えた。「今日は自分のことでいっぱいいっぱいだった。これからはチームのことを、みんなと話していきたい」。磐田の守護神が、ついに帰ってきた。【栗田成芳】