コンサドーレ札幌のDF箕輪義信(32)が、子どもたちのために、クラブ初の個人シートをつくる。6月以降に札幌で開催されるホーム15戦で、各試合15席前後をポケットマネーで購入し、福祉施設の子供たちなどを招く予定だ。昨年12月に右足腓腹筋腱(ひふくきんけん)断裂の再手術を受け、現在リハビリに取り組んでいる。前半戦の復帰は難しい状況も、シート設立で応援してくれるサポーターに恩返しする。

 箕輪が、未来ある子供たちのためにひと肌脱ぐ。新設される「箕輪シート」は、6月以降に札幌ドームと札幌厚別で開催されるホーム15試合(未定の11月8日富山戦を含む)に設置を予定。合計15席前後に、福祉施設の子供たちを招待する。正式な名称は、今季から背負う背番号5にちなんだ“箕輪選手とJ1へGOGOシート”などが有力候補。席種などの詳細も今後クラブと話し合い、今月末にも正式発表する方向だ。

 「何か形にしてチームに貢献したい」という箕輪の申し出が、クラブ初の個人シート設置という形となった。クラブ幹部は「こういう試みは大歓迎。箕輪の思いが少しでもサポーターに伝われば」と言う。札幌では、クラブ創設2年目の97年から「選手会シート」を設けてきたが、選手個人がポケットマネーで行った例はない。

 DFの軸と期待されながら貢献できないもどかしさが、行動の源となった。昨季、川崎Fから期限付き移籍で加入し、今季は完全移籍したものの、負傷のためシーズンの半分を棒に振る。チームもスタートダッシュに失敗し13位と低迷し、クラブワーストの25試合連続失点中。プレーできないことへの「おわびの意味もこめて」という思いが、シートには詰まっている。

 現在は8月の戦列復帰を目指し、関東でリハビリを続けている。三上強化部長は「5月中旬にはチームに合流できる予定」と見通しを話す。今季は同じくリハビリ中の選手会長DF曽田を中心に、勝ち点1につき3000円を選手らで「赤い羽根共同募金」へ募金することも決まっている。ピッチに立てないメンバーも、チームの力となるために尽力していく。