今季初の静岡ダービー(19日、エコパ)まであと2日。今季初白星を狙うJ1磐田は新加入の韓国代表FWイ・グノ(24)が起爆剤となり、2トップを組むFW前田遼一(27)やMF西紀寛(28)とともに新トライアングルを形成して、新たな攻撃を仕掛ける。

 新戦力が早速、力を発揮した。16日、静岡産大との練習試合に出場したFWイは前半10分、DF駒野の右クロスを頭で中に落とした。ゴール前にいたFW前田が左足ボレーで押し込み先制。初アシストを決め「試合前に前田とは動きについて話をした。細かいことは言えないけど、いい距離をお互い保とうと。前田はいい選手。こちらも楽にプレーができている」。自然と2トップ間でハイタッチがかわされた。

 6分後には、動きだしで追加点を演出した。同16分、駒野の右クロスに対し左に流れた。空いたスペースに走り込んだ左MF西は、前田が頭で落としたボールをフリーで右足で流し込んだ。続けざまのゴールに、柳下監督は「FW2人とも裏への動きも、足元でボールを受けることもできる。西も2人の動きを見ているからね。アタッキングゾーンに入れば、相手に嫌な動きができる」と、新トライアングル誕生を喜んだ。

 チーム合流10日と、短期間でチームの起爆剤となり連係面での不安を一掃。その裏には陰の努力があった。クラブのオフィシャルブックをロッカールームと自宅に置き、選手の名前やポジション、プロフィルを覚えた。手帳には日本語の単語を書いて、日常会話を習得中。現在、韓国から韓日辞典を取り寄せているという。チームにとけ込もうとする姿勢が、早くもピッチ上で結実した。

 今季初勝利へ、一気に期待感が高まった。それでもイは「動きだしをよくすれば、もっとチームとしてよくできる」。飽くなき向上心を胸に、清水とのダービーでJリーグデビューを果たす。【栗田成芳】