<J2:札幌4-1C大阪>◇19日◇札幌ドーム

 石崎札幌、ホーム初勝利 !

 コンサドーレ札幌は19日、首位C大阪と対戦し、FWキリノ(24)の3試合連続ゴールなどで今季最多の4得点を挙げ、4-1と大勝した。ホームでの白星は、昨年4月12日のJ1磐田戦以来372日ぶり。前節まで8戦無敗でリーグ1位を走るC大阪に、初黒星をつけた。今季初の連勝で、順位も11位に浮上。開幕ダッシュこそならなかったが、石崎信弘監督(51)の教えが浸透し、結果に結びついてきた。

 終了のホイッスルが待ちきれなかった。石崎監督は、ロスタイム残り1分の時点で「早く終われ」とばかりに、札幌ドームのホバリングステージの階段を1段下りかけた。我慢しきれず、岡田主審に左手を上げ、試合終了をアピールしたほど。まさに待ち兼ねたホーム初勝利となった。

 ド派手な4発でのホーム初勝利。両チーム合わせてシュート32本の打ち合いを制し、指揮官は「最後はホームで首位を倒してやりたいという選手たちの気持ちが出た」と振り返った。前半6分にMF岡本のゴールで先制も、同19分には日本代表MF香川にゴール前で4人がかわされ、同点に追いつかれた。ただ鮮やかなゴールを見せつけられても、この日の札幌は気持ちがなえることはなかった。

 前半41分にキリノ、後半4分にはMF上里のCKにDF西嶋が右足で合わせ3点目とたたみかけた。「点を取れるときに取れたことが大きい」と石崎監督は言った。前回札幌ドームで戦った12日の富山戦では、前半30分に先制しながら、2点目を奪えず後半から受けに回った。逃げきりたい気持ちが空回りし、結果的に終了目前の失点につながった。しかしこの日は受け身にならず、石崎監督の進める「おもしろいサッカー」を貫いた。キリノは「キャンプでやってきた、自分たちのやりたいサッカーができた」とうなずいた。

 開幕から9戦消化し、石崎流が浸透し始めての結果だ。MF藤田は開幕当初の試合を「監督が言うように積極的にプレスにいきたい。でも失敗してやられる。次第に恐れて出られなくなってしまうこともあった」と振り返る。しかしこの日は違った。8戦負け知らずの難敵を前にし、余計なことは考えなかった。「今日は吹っ切れていた」と藤田が言うように、挑戦者の気持ちで無心でぶつかったことで、道を開いた。球際での集中力で相手をしのぎ、MF香川に「すごいハードワーク」と言わしめた。

 サッカー漬けの毎日に身を投じる、指揮官の思いが実った。今春から長男の就職活動が始まったため、夫人は神奈川の実家と1週置きに往復することになった。食事面を心配したクラブが食事ガイドを渡したが「1人でいってもつまらん」と未使用。スタッフに「またコンビニ弁当じゃったぁ」とぼやきながらも、家と練習場を往復する日々を歓迎し、むしろ“満喫”しながら、チームのことを考え続けている。

 初の連勝にも、石崎監督は「まだまだ課題はある。修正して次の横浜FC戦に備えるだけ」と気を引き締めた。1勝はあくまで1勝。目の前の試合に向き合い続けることしか、その頭にはない。【永野高輔】