最下位でもがき苦しむ大分を苦労人が救い出す。大分はMF梅田高志(32)が、16日のアウェー清水戦で今季初めてスタメン出場する。MFエジミウソン(33)が、負傷で離脱したため、代役としてボランチの位置に入る。梅田はJFL時代から大分を知るが、レギュラーに定着できず、J2岐阜を経て今季、2年ぶりに大分へ復帰した。鋭いドリブル突破と豊富な運動量が武器。大分の歴史を知る男が奮い立つ。

 今季、J2岐阜から2年ぶりに復帰したMF梅田が長いトンネルから救い出す。梅田は所属していたJFL西濃運輸サッカー部の廃部に伴い98年、JFL大分トリニティに移籍し、J昇格を目指した大ベテランだ。昇格争い、残留争いのつらさや苦しみをだれよりも知るだけに、泥沼の8連敗で、最下位に沈むチームを思う気持ちは人一倍強い。

 14日の練習前に、シャムスカ監督から直接「ボランチで考えている」と告げられ、闘志を燃やしている。「いつ出てもいいよう準備だけはしてきた。自分が入ることで、チームがうまく動ければいい。結果が良くなるようチームのために頑張るだけ。今は苦しいがここからやるしかない。清水戦は絶対落としてはいけない」。復帰後、今季初スタメンも、実践への準備は万全だ。

 15日は、ミニゲームやセットプレー練習で軽めの調整。イレブンとも積極的にコミュニケーションを取った。MFエジミウソンのけがによる出場。右サイドハーフもこなすが、昨季の岐阜時代は主にボランチでチームをけん引した。鋭いドリブルが持ち味で、クロスの精度も抜群。J1リーグ戦では通算117試合に出場し5得点。豊富な運動量とパワーで相手を翻弄(ほんろう)するつもりだ。

 チームはけがでブラジル人3人を含む主力6人を欠き、ベストメンバーが組めない緊急事態。だが、シャムスカ監督は05年途中の就任以来、巧みな選手起用で何度も残留争いを乗り越えてきた。昨季ナビスコ杯を制し、リーグ4位に輝いた「シャムスカ・マジック」の真骨頂を発揮する時でもある。シャムスカ監督は「梅田はボランチ経験があり心配ない。前節(横浜戦)からいい準備ができた。少しずつ選手ははまってきている。清水戦は期待できると思う」と期待を込めた。【菊川光一】