<J2:C大阪5-3水戸>◇第15節◇17日◇長居

 C大阪の日本代表MF香川真司(20)が「御前試合」で、自身Jリーグ初のハットトリックを達成した。ホーム水戸戦で前半37分にプロ初のPKを決め、後半32分、42分にもゴール。今季10点目でJ2得点ランクの単独トップに立ち、視察した日本代表の岡田武史監督(52)に代表スタメン奪取を強烈にアピールした。C大阪は勝ち点が首位湘南と同じ「35」となり、得失点差2で2位とした。

 香川の歓喜のランに、長居サポーターは3度酔った。Jリーグで初のPK弾に始まって、3-2の後半32分、42分に追加点を連発。初のハットトリックで、降りしきる雨に負けない歓声を浴びたエースは「うれしいです。素直に。もちろん、狙っていました!」と声を弾ませた。

 1-1の前半37分。FW小松が倒され、PKを得た。いつもはFWカイオが蹴るが、現在は左足じん帯損傷で治療のため帰国中。香川は15日の練習で、レビークルピ監督から新キッカーに指名された。本人も「志願」もあった。エースとしてチームを支える「香川の自覚でしょう」と藤田信良社長(58)も成長を認めた。15、16日とキックを練習。成果を右足で証明した。

 後半32分にはMFマルチネスから中央でパスを受け、ドリブルでゴール前に持ち込み、最後はGKまでかわして左足でシュート。同42分は左からのクロスを受け、右足で決めた。プロ初の“猛打賞”は、観戦した母広美さん(48)への1週間遅れの「母の日」の贈り物だった。

 母ともう1人、大事な人がスタンドにいた。日本代表の岡田監督だ。「試合前にごあいさつしました。できることをしっかりやれば、結果はついてくると思います」。代表監督の視線を全身で受け止め、多彩な技を見せつけた。【堀まどか】