<ナビスコ杯:山形1-0清水>◇20日◇予選リーグB組◇アウスタ

 公式戦初先発のMF広瀬智靖(19)のプロ初ゴールで、モンテディオ山形が首位に立った。前半17分、左ポストに当たったボールがゴールイン。虎の子の1点を死守し、清水を1-0で破った。16日のリーグ広島戦から、先発6人を入れ替えながら公式戦5戦、3週間ぶりの勝利。ナビスコ杯は2戦2勝で、停滞気味だったチームに復活の兆しが見えた。

 怖いもの知らずの19歳が大仕事をやってのけた。前半17分、中央のFW長谷川から、右サイドを駆け上がる広瀬にグラウンダーのパスが出た。自信を持つドリブルでペナルティーエリア内に侵入した広瀬は、右45度、約15メートルから左足でシュート。ゴールを確認した広瀬は、ベンチでガッツポーズする小林監督の元へ駆けだす。満面の笑みで、歓喜の抱擁を初体験した。

 「昨日(19日)の練習の後、先発を言われてビックリした」と広瀬。ゴールの瞬間を「頭が真っ白になって覚えていない」と悔しがる。それでも「自信になるし、スタメンの競争に入っていけるように頑張る」と首位浮上の立役者は胸を張った。絶好のアピール機会をもらった若武者は、がむしゃらにボールを追った。後半14分までしか持たなかった体力を強化し、定位置を奪うつもりだ。

 リーグ戦3連敗の悪い流れを切るため、小林監督は賭けに出た。「疲れも出ていて(攻守に)メリハリがなくなっていたので、思い切って入れ替えた」と話す通り、前戦から6人もスタメンを変更。「新しい力が出てきたのは収穫。広瀬は慣れてくれば、もっと個性が出ると思う。(定位置争いの)競争も生まれる」と秘蔵っ子の活躍を喜んだ。

 休養を与えられた主力も満を持して、中断前最後のリーグ戦となる23日京都戦に臨める。この日のサブ組の活躍を、4試合未勝利と失速中のリーグ戦での起爆剤にする。【山崎安昭】