<天皇杯:磐田2-0高知大>◇11日◇2回戦◇ヤマハ

 高知大と対戦したJ1磐田は、2-0での勝利を「中山劇場」で締めくくった。DF犬塚とMF船谷のともに今季初ゴールで初戦を突破した。すると試合後、途中出場のFW中山雅史(42)が相手選手から握手攻めに合う人気ぶりを発揮。ピッチが一気に劇場と化した。

 磐田の勝利を告げるホイッスルが鳴っても、「中山劇場」は終わらなかった。試合後、いつものように応援スタンドに向かってあいさつをしているときだった。相手スタンドから起こるはずのない中山コールが巻き起こった。相手からのエールに、FW中山がじっとしていられるはずがなかった。すぐさま高知大スタンドまでダッシュ。「ゴン」を間近にし目を輝かせた半分近い年齢の学生らから、握手&写真攻めにあった。

 昨年の天皇杯以来、319日ぶりのヤマハのピッチでも、ゴンらしさは変わらなかった。後半40分から、MF西に代わって出場。シュートこそゼロ本だったが、無我夢中で動き回った。同44分の裏に抜けたかに思えたプレーはオフサイドの判定。結局、ノーゴールで試合を終えたが、存在感は抜群。敵味方問わず魅了し、相手の中山コールにも「相手のGKを見たら片山だったから、応援が中山なのか片山なのか、勘違いして手を挙げたのかと思った」と、舌も滑らかだった。

 この日で42歳18日。決めれば国内主要大会でのJ戦士最年長ゴールだったが、ひとまずお預け。それでも「グラウンドでボール回しだけでも気持ちいいものです。また立ちたい。やめられない!!」と、中山節も健在だった。【栗田成芳】