J2札幌石崎信弘監督(51)の来季続投が18日、決まった。クラブからの正式オファーを受けた同監督は、この日「厳しいときこそ辞めるわけにはいかない」と受諾する意思を表明した。メーンスポンサー「ニトリ」撤退で戦力費の大幅減が濃厚も、クラブの要請を意気に感じ、2年目の指揮を執ることを決断した。今後、条件面での詰めを行い、近日中に正式発表される。

 来季も石崎監督の下で、札幌がJ1昇格を目指す。18日の札幌・宮の沢での練習後、同監督と三上大勝強化部長(38)が約3時間、来季について話し合った。ニトリのメーンスポンサー撤退により大幅な戦力費削減が確実となっているが、指揮官はあえていばらの道を選んだ。「チームが苦しいときこそ何とかしてやりたい。厳しいからといって簡単に辞めるわけにはいかない」。クラブは既に正式オファーを出しており、指揮官も意思を明確に示したことで、来季続投が事実上、決まった。

 最大の懸案事項に決着がついた。指揮官が決まったことで、本格的に来季へ向けたチームづくりが始められる。今季は三浦前監督の辞任にともない、石崎監督の就任発表は12月末までずれ込んだ。結果的に1月のグアムキャンプでは、ゼロからのチームづくりを余儀なくされた。

 だが来季は違う。藤田、上里、宮沢ら若手を中心に、今季もがきながら育ててきたチームを、さらに進化させる作業に、引き続き着手することができる。過去指揮した川崎F、柏でも、2年目以降の上積みは証明している。ともにJ2降格後の戦力流出でチーム力が落ちた状況の中、監督を引き受けた。それでも川崎Fは2年目4位、3年目3位と躍進させ、柏は1年で昇格へと導き、2、3年目はJ1残留と結果を残してきた。2年目の来季、この1年の蓄積は間違いなくプラスになる。

 ニトリの撤退により、戦力補強は指揮官が思い描くものよりも、満足に行えない可能性は高い。J1昇格を目指すに十分な戦力はそろわないかもしれない。それでも「予算が少ないのは分かっていること」と理解し、引き受けた。苦境は、熱いハートと数々の経験で補いながら、今季同様、戦い続ける。

 【永野高輔】