J1仙台MF田村直也(25)が、異色の「守備的2列目」というスタイルで定位置争いに殴り込む。宮崎キャンプ2日目の14日、これまでサイドバック(SB)、ボランチとして田村を起用してきた手倉森誠監督(42)が、今季はサイドハーフでも起用することを示唆。田村も、同位置に投入されれば「相手の攻撃の起点をつぶす動きをしたい」と宣言。持ち味の守備力を生かして“オンリーワン”を目指す。

 「1人3役」の便利屋として、田村が2列目でも起用されるプランが浮上した。「2枚看板」の梁、関口に今季からフェルナンジーニョ、太田が加わった最激戦区-。それを知った田村は、不敵に言い放った。

 田村

 競争は激しいと思うけど、オレと同じタイプはいないと思う。攻撃の起点をつぶす動きとか、リードしてる場面で前線から守るのは得意。将来やりたいポジションでもあるし、下から突き上げますよ。

 攻撃を担うポジションだが、J1に挑む今季は劣勢も想定しなければならない。昨季以上に負傷者、累積警告による出場停止も増える。そこを突く。田村は「J1では、前から守ることも必要。その時は自分の出番も増えるはず」と分析。手倉森監督も「タム(田村)に関しては、中盤4枚とSBで計算できる。伸びしろも考えて、彼の万能さを引き出す1年にしたい」と期待した。

 中・高時代は攻撃的MF、中大時代はボランチ、仙台ではSBを経験。中大の先輩で日本代表MFの中村憲(川崎F)から「お前は守備が持ち味。かみつけば相手は黙る」とアドバイスされて信じた。その通り、ボランチで起用された昨年12月の天皇杯準々決勝で中村憲をマークし、黙らせた。指揮官に「川崎F戦の再現を期待したい」と絶賛され、今季の2列目起用案につながった。

 昨季まで2年連続で左SBの開幕スタメンも「どこでもいい。34試合中20試合以上に出場して守備力を生かしたい」と田村。逆転の発想で出番をつかみ取る。【木下淳】