<J1:東京1-0横浜>◇第1節◇6日◇味スタ

 開幕からW杯代表サバイバルが沸騰した!

 W杯イヤーの2010年Jリーグが6日、開幕した。東京のFW平山相太(24)は、横浜戦の0-0で迎えた後半ロスタイムに右足で決勝ゴールを決めて、チームを勝利に導いた。

 90分間走り続けた平山が、ゴールへ向かって猛然とダッシュした。0-0で迎えた後半ロスタイム。右サイドをドリブルで駆け上がる石川と並行して、ハーフウエーライン付近から約40メートルを疾走。飛んできた石川の低いクロスボールを、右足でダイレクトで合わせ、ゴールに流し込んだ。

 自ら予告していた開幕戦での代表入りへのアピール弾は、そのままチームの劇的勝利へと結びついた。「いいスピードでボールがきたので、その分、合わせられた」。得点後はゴール裏サポーターに向かって「愛を込めた」という投げキスのパフォーマンスで、喜びを表現した。

 190センチの長身ストライカーは、高さのあるポストプレーや、ヘディングの強さばかりがクローズアップされる。しかし、この日は「足元」でアピールした。フリーの状況で決めたゴールも、同じ日本代表の石川と長友は「難しいシュートだった」と口をそろえる。雨でピッチが滑りやすく、クロスボールもスピードがあった。ミスキックもあり得る条件で、柔らかなタッチで簡単に決めたところが成長の証しだった。

 W杯イヤーの今季はオフから意識が違った。休むと太る体質のため、プロ入り後初めて、ほぼ休みなしで練習。ヘディングと動きだしの早さに加え、足元の技術の強化にも取り組んだ。クラブ関係者に「イブラヒモビッチみたいになれれば」と、高さと足元の技術を兼備するバルセロナFWの名を挙げたこともあった。代表選出のため見送られたが、クラブ側に「自費でもいいから」と要望し、1月に足元の技術に定評のあるブラジルへの留学も予定していた。

 この日は敵陣中央付近で横浜DF中沢をフェイントでかわす場面や、ペナルティーエリア内で2人のDFをかわしてシュートを放つなど、足を使ったプレーでアピールした。「東京で結果を出していけば、(代表は)後からついてくる」。5月中旬に発表されるW杯代表23人枠入りへ、オールラウンダー平山が好スタートを切った。【塩谷正人】