<J1:山形1-1浦和>◇第3節◇21日◇NDスタ

 ホーム開幕戦を迎えた山形が、浦和から勝ち点1を奪った。昨季リーグで2戦全敗の相手にドロー。0-1の後半13分、MF宮沢克行(33)のゴールで同点に追いついた。13日の清水戦で3失点完封負けした悪い流れを、キャプテン自らのゴールで振り払った。今季初勝利こそ逃したが、攻撃の形も見え始めチームに光明が差し始めた。

 1点を追う重苦しい空気を、宮沢が切り裂いた。後半13分、FW古橋の左FKでゴール前に位置を取り、密集の中で左足を振る。チームを生き返らせる値千金の同点ゴール。「いい軌道でした」と宮沢は、古橋のキックをたたえた。昨年10月24日柏戦の後半12分に、自ら決めて以来続いていた“得点者なし”の不名誉も631分で終止符。開幕湘南戦のオウンゴールでは喜べなかった分まで、サポーターも歓喜した。

 開幕3試合連続で先制点を献上。今日もダメか-。心が折れかけたイレブンが宮沢のゴール後、息を吹き返した。DF石川、宮本の両サイドバックが攻め上がり、クロスを入れて何度も決定機を作る。小林監督が「勝ち点3を取るべき試合だった」と悔しがるほど、ビッグクラブの浦和を押し込んだ。

 後半22分にMF下村をボランチで、同40分にはDFキム・クナンをパワープレー要員として前線へ投入。移籍後初出場となった2人について、指揮官は「試合で試せたことが収穫。新しい選手も、チームになじんできている」と口にした。下村が「チャンスがあれば先発したい」と話せば、キム・クナンも「流れを変えたかったけど、次の試合でできるように準備する」と、初勝利に向けチームの結束は強まった。

 チームとして機能せず敗れた13日の清水戦後「どうしていいのか分からない」と、うなだれていた古橋の表情も明るかった。FW田代とのコンビネーションにも手応えを得ており「少しずつ(新戦力の)プレーが分かってきた。もっとコミュニケーションを取っていけば(チームが)もっと良くなる」と納得の表情。勝ち切れはしなかったが、前進するキッカケをイレブンがつかんだ。

 「あともう少し、あともう少し」。指揮官も、自らに言い聞かせるようにつぶやいた。J37クラブで最も遅い、3試合目で迎えた2年目のJ1ホーム開幕戦。まだ雪が残る山形に、そしてこの日を待ちわびたサポーターにも、桜前線は確実に近づいている。【山崎安昭】