勝利のカギは「七人の影武者」が握る。山形小林伸二監督(49)は、7月31日、1日のアウェーG大阪戦では2列目の選手がゴールを決めると予想。FW長谷川が“おとり”となり、MFがゴールするプランを描いた。「2列目の飛び出しがガンバ戦では効く」(同監督)と分析。同じ位置で先発見込みの古橋ら「7人の影武者」に期待を寄せた。川崎F戦の仙台は守備重視で「どん底」脱出をはかる。

 本来ゴールを決めるのはFWの仕事だが、ビッグクラブを倒すには策が必要だ。J屈指の強豪・G大阪に勝利するため、小林監督が準備したシナリオが「7人の影武者作戦」だ。「G大阪は(相手の)2列目の動きを把握しきれない場面がある。2列目の選手が得点するよ」と自信たっぷりに話す。1トップの長谷川が相手を引きつけるスキを、後方からうかがう。

 相手の陣形を、動き回ってかき回す古橋を筆頭に、ドリブラー北村、テクニシャン増田、ピンポイントクロスの宮沢ら先発4人が「その時」を見逃さない。北村が4人を代表し「(体が)途中でつぶれるのを覚悟で走ります」というように、バッテリー切れは必至。するとベンチで出番を待つ「残りの影武者3人」が、次々戦場に飛び出す。小林監督が「状態がいいですよ」と期待する、攻撃的MF広瀬らが、勝ち戦の総仕上げにかかる。

 故黒沢明監督の「七人の侍」(1954年=昭29)は世界でも高い評価を得ている。「影武者」(80年)もまたカンヌ国際映画祭グランプリに輝いた。名匠の傑作2つを足した?

 「7人の影武者作戦」で強敵を破れば、リーグに占めるチームの存在感も高くなる。ベテランMF下村がいう。「順位が上がるためには、連勝とか金星を挙げないと」。勝ってイレブンが自信を付け、チームがレベルアップするために、G大阪は打ってつけの相手だ。【山崎安昭】