<J2:鳥栖1-0札幌>◇第26節◇19日◇札幌厚別

 札幌は鳥栖に0-1で敗れ、札幌厚別公園競技場では昨年10月7日のC大阪戦以来347日ぶりの黒星を喫した。石崎信弘監督(52)はFW横野、上原の2人を初めて先発で起用。フレッシュな布陣で攻め立てたが、決定機を決めきれず、後半41分にPKから失点した。勝ち点は30のままで、昇格圏の3位福岡との差は今季最大16に広がった。

 さわやかな秋風がうらめしかった。前節まで7戦勝ちなしの鳥栖に白星を献上。後半40分、相手ロングボールを競り合ったDF吉弘がバランスを崩した。FW豊田に振り切られた後、ペナルティーエリア内で背後から押し倒しPKを与えた。堅守を誇っていたDF陣だったが、1プレーで決まった。吉弘は「僕のせいで試合を壊してしまった」と肩を落とした。

 手応えもあった。荒れたピッチを考慮し、キックオフからDF裏へシンプルにロングボールを放り込むスタイルに変えた。前線では横野、上原が猛然とボールに寄せ、相手ミスを誘発。本来目指すパスで組み立てるサッカーができないときの打開策にはなる。だが、指揮官が「横野も上原も頑張ってくれたが、ゴール前でイージーなミスが出てしまった」と言うように、ラストパスやシュート精度の低さが明暗を分けた。

 初先発組の2人にとっては苦い経験となった。横野は「持ち味のプレスは出せたけど、ゴール前での落ち着きが足りなかった」と言った。上原も「もっとがむしゃらにやっていれば」と悔しげに振り返った。辛い思いを経験してこそ強くなる。残り11試合で昇格圏との差は16と状況は厳しいが、23日には首位柏と一戦が待っている。下を向いている暇はない。【永野高輔】