2日に引退を表明した仙台MF千葉直樹(33)に、有終の美を飾るチャンスが舞い込んだ。今季不動のボランチだった富田晋伍(24)が、痛みを隠していた左足第5中足骨の回復手術を受けることを決断。全治約2~3カ月で今季絶望となり、残り6試合を千葉が救うことになった。今日6日のアウェー神戸戦(ホームズ)で先発復帰。勝ち点8差の16位との直接対決から集大成ロードを歩む。

 富田は前日4日の紅白戦で離脱した。エックス線検査を受けたところ、左足小指の付け根(第5中足骨)の亀裂が広がっていた。「職業病みたいなもの。数年前から亀裂が入っていた」と手倉森監督。そこが悪化し、さらに衝撃が加われば折れてしまう状態だった。

 ただ今は残留争いの正念場。神戸戦への強行出場も考えたが「前半10分で壊れる可能性もある」とリスクを回避した。この日も富田に感触を確かめさせたが、ウオーミングアップの時点で痛みを訴え、続行は不可能になった。「晋伍とは『割り切って来季に備えよう』と話をした。完治して来年のスタートを迎えてほしい」と監督。近日中に手術を受ける手続きを進めた。

 富田は今季28試合中、GK林、MF梁に次ぐ25試合に先発している主力だった。MF関口の負傷に続く暗い話題。だが、チームは明るさを失わない。思わぬ形で千葉に、自ら花道を飾る好機がめぐってきたからだ。

 千葉

 このタイミングで先発が回ってくるとは思わなくて、多少とまどいました。晋伍から「持ってますね」って言われちゃった。「ふざけんな(笑い)」って言い返しといたけど、出るからには勝たなきゃね。

 引退を表明し、精神的に楽になって残り6試合を迎える。千葉は「見守って終わろうと思ってたけど」と笑った後「準備はできている。まだ目標(J1残留)を達成してないから」と引き締めた。最近は守備固めの途中出場が続いたが「ずっと先発だったし、リズムをつかみやすい。90分間、走り切ってみせます」。ミスターベガルタが、残留を置き土産にすべくスクランブル発進する。【木下淳】