<天皇杯:清水1(5PK4)1山形>◇準々決勝◇25日◇アウスタ

 山形がクラブ史上初の4強入りを逃した。清水と1-1で120分でも決着がつかず。PK戦では5人全員が決めた清水に対し、MF佐藤健太郎(26)が失敗し、敗退が決まった。延長後半2分、FW田代有三(28)が左足を振り抜き先制したが、逃げ切れなかった。

 清水サポーターの歓喜の声援を背に、佐藤健はうつむいたまま仲間の元へ戻った。PK戦の2人目。ほぼゴール正面を突いたシュートは、右に飛び込んだ清水GK山本海に足ではじかれた。この1本の失敗が明暗を分けた。「もう取り返しがつかない。チームとサポーターに申し訳ない気持ちです」。力なく答え、スタジアムを後にした。

 山形の展開だった。前半は押し込まれながら無得点に封じ、清水の足が止まった後半に反撃開始。延長後半2分に、田代のゴールで先制するまでは理想的だった。誤算だったのは191センチの長身、ボスナーへのマーク。センターバックの西河、前田ではなく、MF下村が付いた。身長差は10センチ。ミスマッチが「あだ」となり、2分後に同点弾を食らった。小林監督も「点を取ってから、取り返されるまでが早かった」と悔やむ痛恨の一撃。ナビスコ杯を含め、今年4度目の挑戦でも清水の壁を越えられなかった。

 「いい経験になった。リーグ、カップ戦でもいいところまで行けた。来年に向けてまたチームを作っていくが、集大成としてはよかった」。小林監督は今季をこう総括した。新システム「4-3-3」の浸透、元日本代表やJ1で実績のある選手の獲得。10年の成果を、そのまま来季へ持ち越すことはできない。「来年は新しい戦力を入れて、パワーアップしたい」。4強入りを逃したこと、既存の選手の放出…下を向けばキリがない。「小林体制4年目」の戦いは、すでに始まっている。【湯浅知彦】