夢のカードが実現する。なでしこジャパン(女子日本代表)対ヤングなでしこ(20歳以下女子日本代表)が、12月25日に国立で対戦することが13日、分かった。3年後のW杯カナダ大会、4年後のリオデジャネイロ五輪の金メダル獲得への本格スタートで、世代交代の試金石になる。昨年3月11日に起きた東日本大震災の被災地へのチャリティーも兼ねており、被災地の子供らを200人以上招待するプランも検討中だ。

 世界頂点を極めるプランが始動する。なでしこの世代を超えたトップ選手が、クリスマスの夜、国立に大集合する。MF澤穂希(34=INAC神戸)や宮間あや(27=岡山湯郷)らロンドン五輪メンバーと、MF田中陽子(19=INAC神戸)、MF猶本光(18=浦和)らヤングなでしこが激突。現在負傷中のMF阪口夢穂(25=日テレ)らケガ人をのぞき、海外組も全員参加する予定だ。

 日本協会関係者によると「今回は日本サッカー協会主催ではないので、なでしこジャパンという名称は使えない」というが、佐々木則夫監督(54)がトップチームを、今年の夏に日本開催のU-20(20歳以下)女子W杯で日本を史上初の3位に導いた吉田弘監督(54)が、若手チームの指揮を執る。

 W杯と五輪で優勝を目指すには、世代交代は必要不可欠。ロンドン五輪前から、チームの柱・澤が代表引退と続行で悩むなど、若手台頭が必要なポジションがいくつかある。ヤングなでしこは今夏、自国開催の世代別大会で結果は残したが、所属チームでレギュラーを獲得した選手は少ない。

 佐々木監督は、世代を超えた100人合宿を実施するなど、世代交代を図ってきたが、ロンドン五輪メンバーも、昨年のW杯優勝メンバー以外の若手からの突き上げはなかった。今回の対戦は初の試みで、代表レギュラー格のお姉さんが、代表入りを目指す若手を実戦で鍛えられる大きなチャンスとなる。

 なでしこ同士の対戦は、チャリティーマッチとして行われる予定だ。なでしこジャパンは、昨年のW杯後は澤主将が、今年のロンドン五輪後は宮間主将が「応援してくれた日本のみなさん、特に自分の生活が大変なのに、応援してくれた被災地のみなさんのおかげです。恩返ししていきたい」と話している。

 しかし大会後、リーグ戦が続くなど、実際の活動は活発にできなかった。そのため今回は、被災地の子供らを1泊2日で招待する計画が挙がり、実現する可能性が高い。

 なでしこの未来と、日本復興のため、女子サッカー界が大きな1歩を踏み出す。