<J1:仙台1-0山形>◇第12節◇22日◇NDスタ

 山形はホームでの「みちのくダービー」だったが決定機を作れず、無得点で3連敗となった。

 「なにやってんだ、こら!」「ふざけんじゃねえ」。サポーターの怒りに反応する力も、山形イレブンには残っていなかった。「宿敵に敗れた」という事実は、決して悪くなかった試合内容すら忘れさせ、無力感だけが残った。

 失点が集中する「魔の時間帯」は乗り切った。前半30分から45分。ヒヤリとする瞬間すらなかった。それだけに、いや、だからこそサポーターも後半に懸けた。淡い期待は、MF梁のFKに打ち砕かれた。必殺の飛び道具が起点となり、DF菅井の決勝弾を許した。わずかな油断。小林伸二監督(50)は「外から見て『球際にいけ』と言っているのに行かない。メンタルの問題か?」と選手に問いかけた。

 反撃に出るしかない70分以降。得点が集中する時間帯を、仙台にしてやられた。FW赤嶺がゴールライン上で倒れて試合が止まったため、早く再開するためにGK植草がピッチ外へ赤嶺を押し出した。気を取り直して蹴り出したが、前線には合わず。J1・3年目で初の3戦連続完封負け。試合後、会見に15分遅れで登場した小林監督は「やっているのは君たち選手。悔しいのはサポーター。頭を下げて落ち込んでいる暇はないと言いました」と語った。ダービーで失った浮上のきっかけ。全てを好転させるには、勝ち星しかない。【湯浅知彦】