<天皇杯:横浜FC0-2松本山雅>◇2回戦◇8日◇松本球

 JFLの松本山雅が、J2横浜FCを破る番狂わせを起こした。8月に急逝した松田直樹さん(享年34)が最も戦いたかったFWカズ(三浦知良=44)の所属するチームとの対戦で、思いを胸にしたFW片山真人(27)が、貴重な先制点をたたきだした。J1仙台はJFLソニー仙台を延長の末に下した。

 突き立てた指の数は3本だった。松田さんの代名詞の背番号と一緒。片山は「マツさんへの思いがみんなの中にある。そういう意味です。マツさんが一番試合したかったのがカズさんですから」。後半8分、クリアボールがエリア内で胸に収まる。無心で左足を振った。値千金の先制点。そのまま天を見つめて、右手を掲げ、「3」をアピールした。

 09年度の天皇杯でも浦和を2-0で破る大金星を挙げた。「J勢食い」に今回も士気は高かったが、加えて松田さんのことがあった。立ち上がりから出足で圧倒。激しい当たりが随所に見られた。シュート数は16対10。守ってのカウンターではなく、攻めきった。先制後から2分後にもPKを決め、試合を決定付けた。

 松田さんが目指したJ2昇格に向け、リーグ戦では残り11戦で6位。条件となる4位以内に勝ち点2差に迫る。殊勲の片山は「マツさんが『次も勝てよ』っていってると思います」と気持ちを次に向けた。J勢撃破の勢いが、何よりの後押しになる。【阿部健吾】