<J2:横浜FC0-1岡山>◇第33節◇30日◇ニッパ球

 “世界最長ヘディングゴール”達成!?

 岡山のDF植田龍仁朗(23)が記録的ゴールを決めた。後半24分に横浜FCのゴールキックを頭でクリアしたボールが、ワンバウンドでGKを越えそのままゴールイン。推定57・8メートル以上の決勝点は、9月にノルウェーリーグで生まれ、ギネスブックへの申請が話題になった約57メートルを超えるヘディング弾。Jリーグでは最長となった。

 「え、え、えーー!」。会場にいた誰もが、目を疑った。雨が激しくなった後半24分。横浜FCのGK関のゴールキック。ハーフウエーラインを越えて自陣に伸びてきたボールを、188センチのDF植田が頭でクリア。そのままGKの手に収まるような大きなクリアボール。それがワンバウンド目でぬれた地面に大きく跳ね、目測を誤ったGK関の頭の上を飛び越えた。あとは転々とゴールへ…。

 ぼうぜん自失の関だけでなく、植田も事態が分からなかった。「ポジションに戻ろうと、バックステップで後ろをキョロキョロしてたんで。入ってから気付きました。びっくり」。信じられないプロ2点目に苦笑いを浮かべるしかなかった。

 試合後にニッパツ三ツ沢球技場のグラウンドスタッフの永峯清さん(60)が計測した結果、少なくとも57・8メートル以上。これまでの「史上最長ヘディング弾」は、ノルウェー1部リーグでの57・3メートルとされ、今年9月25日にオド・グレンランのサムエルソンが記録。同クラブはギネスブックに申請する計画を発表したが、それを上回っていた。

 岡山では、相手GKの判断ミスを気遣いギネス申請を行う方針はないというが、今後Jリーグがアクションを起こす可能性は十分ある。日本で生まれた驚異のゴールが、注目を集めそうだ。【阿部健吾】

 ◆植田龍仁朗(うえだ・りゅうじろう)1988年(昭63)1月29日、大阪・門真市生まれ。G大阪ユースから06年にトップ昇格。同期はフィテッセDF安田理、G大阪FW平井ら。09年に岡山に移籍。J通算64試合2得点。U-18日本代表。188センチ、78キロ

 ◆Jリーグの長距離ゴール

 06年7月12日のJ2仙台-東京V戦で、東京VのGK高木義成が記録した89メートルが最長。自陣ペナルティーエリアわずか外からの右足FKが、相手GK目前でワンバウンドしてそのままゴールへ。J1では07年11月24日の清水戦で千葉DFジョルジェビッチが右足で記録した70メートルが最長。これまでJリーグで記録された55メートルを超えるゴールはいずれも足。ヘディングでの55メートル以上のゴールは過去に1度もなかった。