<J1:浦和1-0清水>◇第12節◇19日◇埼玉

 浦和は1点を守り切り、6年ぶりにホームで清水から勝ち星を挙げた。今季3試合目の無失点でリーグ4戦ぶりの勝利を手にしたが、追加点を奪えない課題が浮き彫りになった。

 前半42分、MF柏木の左CKから、フリーでゴール前に入ったMF阿部勇樹(30)が、頭と太ももに当たって目の前にこぼれたところを右足で、今季2得点目を泥臭く決めた。

 しかし、1得点ではもの足りない試合だった。前半のシュート数は清水の2本に対し、4倍の8本。チャンスは作るが、決定力のなさに泣いた。阿部は「1点を守りきるつもりはなかった。次の1点を決めきれるようにしたい」と話した。

 後半9分には清水MFアレックスが2枚目の警告で退場になり、数的優位に。同15分から日本代表FW原口を投入し追加点を狙うが、ペトロビッチ監督の目指す、連動した攻撃は増えなかった。

 監督は、厳しい指摘をした。昨季のサイドから個人の力でゴールをこじ開けていたサッカーを例に出し、「自分でなんとかしようとする選手が多かった。過去のスタイルは早く捨てなければいけない。1人でなんとかするのは、今やっているサッカーではない。パスを出して動く、その繰り返しがサッカーだ」。選手に変化を求めた。

 一方、5戦連続で許していた失点は止めた。試合前に監督は「今日は絶対に無失点に抑えよう」と呼びかけた。CKの際の守備も話し合い、ゴール前を徹底的に固めた。後半は両サイドハーフが最終ラインまで下がり、5バックになる場面もあった。

 なんとか無失点に抑え、DF槙野は「全選手が高い守備意識を持てた」と話した。1つずつ課題を克服し、確実に前へ進む。王者奪還への道は、続いていく。【保坂恭子】