札幌は3日、今季限りで契約を満了する6選手を発表した。06年から7シーズン在籍で07、11年のJ1昇格に貢献したMF芳賀博信(29)、10年途中から3シーズン在籍で主力として貢献したMF高木純平(30)ら功労者の退団が決まった。来季トップチーム人件費はクラブ史上最低の2億5000万円前後まで圧縮。緊縮財政のため戦力より財政的理由を優先せざるを得ない結果となった。

 札幌にとっては、苦渋の決断となった。主力としてチームを支えた選手も、チームに残せない現状。三上大勝強化部長(41)は「例年以上に厳しい判断をせざるを得なかった。本来なら戦力として残したい選手が入っていると思ってもらってもいい」と険しい表情で明かした。

 今季で契約が終わる選手のうち、比較的高年俸のベテラン陣が降格の痛みを味わう結果となった。芳賀は07、08年に主将を務め、2度の昇格に貢献。今季は左足底筋膜炎のため出場9試合に終わったが、気迫を前面に押し出した守備で、チームを鼓舞できるファイターだった。高木純はMFながらFWからサイドバックまでこなす万能型。厳しい物言いで、チームに刺激を与えられる希少なキャラクターでもあった。財政的問題さえなければ、来季1年での再昇格には必要な戦力だった。

 三上強化部長は「クラブにかかわる人間として、申し訳ない。来季の戦力や成長度合いという本来のものよりも、財政的理由という割合が大きくなってしまった。残念でならない」と説明した。来季トップチーム人件費は、今季の半分以下の2億5000万円前後まで一気に圧縮される。高木純は1500万円、芳賀は700万円(金額は推定)と、他のJ1クラブでは高年俸とはいえないが、それでも保有できないジレンマがあった。

 同部長はさらに「予定しているトップチーム人件費の2億5000万円というのも、届くか分からない。ただ、そこは死守してほしいと要望して編成している状況」と窮状を訴えた。

 降格余波で厳冬更改は必至。条件提示された選手の中にも他クラブから、いいオファーがくれば流出は避けられない。同部長は「今後の交渉で、他クラブに移籍する選手が出てくる可能性は大いにあり得る」と懸念した。【永野高輔】