<天皇杯:鹿島1-0千葉>◇23日◇準々決勝◇味スタ

 13年もオレがエースだ!

 鹿島FW大迫勇也(22)の研ぎ澄まされた嗅覚が後半19分、発揮された。ゴールを背にして縦パスを受けると、右足アウトサイドで後方のMFドゥトラに通す。「ボールがくると思った」。相手DFとドゥトラが奪い合う球際から、目の前にこぼれたボールをかっさらうと、右足でニアサイドにねじ込んだ。「こうやって結果を出すことが監督への恩返しになる」と今季限りで退任するジョルジーニョ監督にささげた。

 来年もエースであることを証明した。18日に来季の監督就任が決定的なトニーニョ・セレーゾ氏(57)が来日。翌19日には練習場に訪れ、サッカー界では異例とも言える“引き継ぎ作業”が、新旧指揮官で行われた。大迫を「ストライカーにとって必要である要素を今、発揮できている。この勢いで成長してセレソン(代表)にたどり着くだろう」と話すジョルジーニョ監督の大迫評も、次期監督へ引き継がれているに違いない。

 もっとも大迫にとって、来季のことは頭にはない。「今は来年のことは考えない。監督が代わっても出られる選手は出られる。そう思うので」とあと2試合に集中する。将来的には海外クラブでの勝負を夢見ながらも「まだ鹿島で何もできていないから」と来季も鹿島でプレーし飛躍することを心に誓っている。優勝すれば、来季のACL出場権も獲得。何よりも「必ず優勝させて(ジョルジーニョ監督を)帰らせてあげたい。それが僕らのできる最大のプレゼント」と笑顔の大迫は、優勝しか見えていない。【栗田成芳】