“因縁”のタイでエース復活ののろしを上げる。仙台は今日24日、アジア・チャンピオンズリーグ・ブリラム戦に臨む。勝てば1次リーグ突破が決まる可能性もある一戦。20日の川崎F戦でケガから戻ってきたFW赤嶺真吾(29)にとっては、昨年2月のタイ遠征で負傷退場させられた相手と再び敵国でぶつかる、リベンジマッチでもある。チームを16強に導く今季初ゴールを狙う。

 灼熱(しゃくねつ)のタイで、赤嶺は静かに決意を込めた。「焦りはないけど、1つ目を取らないと始まらない。やっぱりシーズンを戦っていく上で、初ゴールは重要。焦らず、チャンスを貪欲に狙っていきたい」。右太もも肉離れの影響もあって、今季は公式戦6試合でいまだに得点がない。シーズン途中にレンタル加入した10年も合流から3試合目でゴールを奪っており、仙台移籍後のペースとしては最も遅い。それでも、落ち着き払っている。

 本人は「別に嫌なイメージはない」と受け流すものの、タイでのブリラム戦。昨年2月18日、バンコクでのゲームが記憶に焼きついている。ペナルティーエリア内の競り合いで右目付近を蹴られ、流血して負傷交代、さらには救急搬送。帰国後に負傷者の代役として声がかかった日本代表への追加招集も辞退せざるを得なくなった。「あの時は途中で代わらなければいけなかった。試合に出場したら、今度は勝利に貢献したい」と意気込む。

 復帰戦となった20日の川崎Fは後半開始から出場。競り合いで別格の強さを見せるなど、故障明けとは思えない動きを見せた。ブリラムにはホームで戦った2月26日の試合で同点弾を許した屈強なスペイン人DFオスマルがいるが、マークを外す動きに定評のある赤嶺ならば関係ない。「FW陣がゴールを取れれば、上(決勝トーナメント)に行ける可能性も高まるので、頑張れれば」。大事な試合で決めてこそエース。今季もそれを証明するべく、第1号を狙う。(ブリラム=亀山泰宏)