<J2:神戸3-3岡山>◇第11節◇28日◇ノエスタ

 岡山が残り10分で3点差を追いつき、開幕からの連続無敗記録を11試合に伸ばした。首位神戸に0-3で迎えた後半39分、史上初の東大卒JリーガーFW久木田紳吾(24)が途中出場で今季初ゴールを決め、1分後にも久木田が得点。ロスタイムに同点に追いつき、執念のドローに持ち込んだ。3位から暫定4位に落ちたが、クラブ創設10年目でJ1昇格も夢ではなくなってきた。

 Jリーグ初の東大卒FW久木田が、学生時代に培った集中力で大きな仕事をやってのけた。0-3で迎えた後半37分に途中出場。2分後にFW荒田のパスから2年ぶりのゴールとなる今季初得点。さらに同40分にも荒田のパスを冷静に押し込んだ。ロスタイムの後半48分には荒田が同点弾。久木田はクールな顔をくしゃくしゃにさせた。

 「2点取れたのは出来すぎ。ずっとけがをしていたので、やっと少しはチームに貢献できたかな」。J2松本に期限付き移籍していた昨年6月末に右膝を負傷。前十字靱帯(じんたい)断裂などで全治6カ月と診断され、7日札幌戦で復帰したばかり。「自分は高いレベルでの経験がほとんどなく、いつもネガティブ思考だったけど、けがをして逆に前向きになれた」という。

 岡山はJ2昇格2年目の10年から影山監督が指揮を執り、今年で4年目。全国区の選手は皆無だが、長期政権の効果は、戦術共通理解度の向上やボール支配率アップ、そして今季の順位にもつながっている。影山監督は「3点を返せたのはミラクルに近い」としながらも「最後まで諦めないひたむきさは出せた」と、胸を張った。

 今年4月に念願のクラブハウスと専用練習場が完成。試合前日にしか行えなかったミーティングの回数が増えた。DF後藤は「相手の情報が多く入るようになり、ミスが減った」と感謝する。J2昇格の09年から18、17、13、8位と順位を上げている。ここまで無敗は2位G大阪と2チームだけ。今年はJ1昇格プレーオフ圏内だけでなく、自動昇格の2位以上も決して夢ではない。【福岡吉央】

 ◆久木田紳吾(くきた・しんご)1988年(昭63)9月24日、熊本県生まれ。小3でサッカーを始める。県内一の公立進学校、熊本高3年時に県大会ベスト8。東大には現役合格。教養学部理科2類で学び、3年からは工学部都市工学科都市計画コースを履修。11年にJ2岡山入りし、昨年松本に期限付き移籍、今季から岡山復帰。J2通算43試合6得点(今季5試合2得点)。180センチ、70キロ。