天才と90分間の我慢比べだ。仙台は今日28日、ホームでC大阪を迎え撃つ。最大のポイントは、日本代表FW柿谷曜一朗(23)をいかに封じるか。一瞬の飛び出しと正確無比なファーストタッチ、抜群の決定力で今季14得点を量産しているザックジャパンの新星。強烈な“個”に対し、ベガルタの持ち味でもある“組織力”で愚直にゴールを守り、勝利をたぐり寄せる。

 ここ3試合で8得点のC大阪にあって、柿谷は意識せずにはいられない存在だ。「DFにとっては一番やりにくいFW。ちょっとのポジションのズレを狙っているし、気づいた時には離れている」(角田)「一瞬のスピードがちょっと(他とは)違う。トリッキーなプレーをいとも簡単にやってのけるし、天才という言葉が本当に似合う選手だと思う」(石川直)。仙台も昨季の対戦から2試合連続でゴールを許しているとあって、DF陣からは称賛の声が相次いだ。

 手倉森監督は「一番危険なプレーをする選手から優先順位をつけて抑える」と徹底マークを明言するが、やるべきことはシンプルだ。山口、扇原といった日本代表クラスのパスの出どころに圧力をかけた上で「とにかく集中して、(柿谷の)位置を確認して見失わないこと」(角田)。石川直が「特別なことではないけど、それを90分間できるか。一瞬の緩みを狙ってくる。我慢比べで負けたくない」と話すように、根気強く続けられるかが鍵を握る。

 後半戦に入り、鹿島大迫、柏工藤、鳥栖豊田と東アジア杯で活躍したFWに得点を許すことなく抑え込んできた。角田は「いい形でボールを入れさせてないし、仕事はさせていない。組織として守れれば、というイメージは強い」と手応えをにじませる。柿谷については「いい形じゃなくても飛び出せる。今までの相手とはちょっと違うし、いつも以上の集中力が必要」と別格との見解だが、組織力で対抗することは変わらない。泥くさい戦いなら望むところ。新進気鋭のホープを封じ込め、逆襲の踏み台にさせてもらう。【亀山泰宏】