<天皇杯:磐田8-1サウルコス福井>◇7日◇2回戦◇ヤマハ

 磐田がサウルコス福井(福井代表)に圧勝し、約2カ月ぶりの公式戦白星を手にした。前半12分にMF山本康裕(23)の左足シュートで先制するとゴールラッシュ。山本康のプロ初となるハットトリック、MF山田大記(24)の2得点、エースFW前田遼一(31)のゴールなど8得点と爆発し、新装ヤマハスタジアムでの初勝利となった。この勢いを13日のリーグ柏戦につなげられれば、降格圏脱出のドラマが始まるかもしれない。

 格下の相手とはいえ、飢えていた「勝利」を手にした。7月10日の第15節新潟戦以来となる約2カ月ぶりの白星に、選手とサポーターから笑みがこぼれた。立ち上がりこそ、挑戦者の姿勢を見せた相手に受け身となったが、前半12分、山本康がこぼれ球を押し込み先制。そこからは、両サイドを自在に使い、前線がゴール前で積極的に仕掛ける厚みのある攻撃で8得点と圧倒した。

 今回は、前節甲府戦から先発を入れ替えた。甲府戦でベンチスタートだった山本康が2列目で先発。プロ初のハットトリックを達成した。リーグ戦では、チャンスで決められない場面が続いていただけに「リーグでこの2、3試合ふがいないプレーをしている。その状況を打開できるよう、僕自身、ラストチャンスのつもりで臨んだ」。後半16分には、ファーに走り込んでの右足シュート。同25分にはDF宮崎智彦(26)のグラウンダーのクロスを合わせた。「相手のレベルは違うけど、3点取れたのは僕自身、吹っ切れるものがあるかな」と話した。

 山本康だけでなく、FW山崎亮平(24)も先発起用に応え1得点と結果を残した。山崎は「スタメンで出ていない選手がいい雰囲気でやれている。ゴール前では仕掛ければ何かが起こるので、次も相手の嫌なプレーをしていきたい」と力を込めた。

 関塚隆監督(52)は「次節に向けた戦いにしたいという人選だった。非常に、ゴール前に行く姿勢を見せてくれた」と振り返った。大事なのは13日のリーグ柏戦だ。残留ラインの15位甲府との勝ち点差は9。残り10試合となり、引き分けでも厳しくなる。この日、チーム8点目を決めたエース前田は「必ず次につなげたい」とキッパリ。降格圏脱出には厳しいいばらの道が続くが、今回の大勝が残留ドラマの序章にできれば、波に乗れるはずだ。【岩田千代巳】