<J1:C大阪2-2G大阪>◇第7節◇12日◇ヤンマー

 C大阪が世界的スターのフォルランが2発なら、G大阪は努力家のMF阿部浩之(24)が2発だ!

 大卒3年目の阿部が前半42分に左足ミドルを決めると、後半8分には一時は勝ち越しとなる2ゴール目だ。リーグ5戦ぶり勝利は逃したものの、スター軍団の宿敵C大阪に2-2の引き分け。意地で勝ち点1をもぎ取った。

 超満員の敵地が、どよめいた。フォルランに先制弾を許し、劣勢ムード漂う前半42分。相手GKのクリアミスを、阿部は見逃さなかった。左足で豪快に同点弾。さらに後半8分にも、再び相手のミスから今度は右足で狙いすましたゴールを決めた。1試合2発はプロ入り後3年目で初。スター選手がズラリそろう永遠のライバルC大阪を苦しめたのは、派手さの一切ない、生真面目な男だった。

 「(1点目は)前半のうちに追いつけて良かった。ミドルシュートは自信があるんで、どんどん狙っていこうと思っていました。(2得点は)たまたまです。(ボールを)浮かさないように、枠を狙いました」

 燃える理由があった。中盤の右で出場し、日本代表候補に選出されたC大阪の19歳南野とマッチアップした。相手は大逆転でW杯メンバー入りを狙う注目株で、背番号は同じ13番。闘志は胸の内に隠し、黙々と結果だけを追い求めた。南野を無得点に抑え、阿部は2得点で完勝。それでも「南野選手は、間合いの取り方もうまいですし、いい選手だなと思いました」と丁寧に言った。関学大卒の優等生はどこまでも紳士的だ。

 勢いに乗る宿敵に、白星は譲らなかった。それでもまだリーグ15位。3月8日新潟戦に勝っただけで、7節を終え、まだ1勝止まりだ。長谷川監督は「序盤7試合で思うように勝ち点を取れなかった」。MF遠藤も「(今後は)いいリズムを自分たちでつかめるようにしていきたい」と話した。常勝軍団復活へ-。上昇気流に乗るのは、これからだ。【益子浩一】