<J1:鹿島2-3神戸>◇第8節◇19日◇カシマ

 常勝軍団らしからぬ逆転負けだった。鹿島は1点リードの後半19分、中央からの神戸MFチョン・ウヨンの浮き球FKをDF青木が競りにいき、空中でハンド。2枚目の警告を受けて退場した。

 同点に追いつかれただけでなく、鹿島の生命線「統率」まで失った。昨季、全34試合フルタイム出場のセンターバック(CB)青木の離脱。コンビを組む日本代表候補のCB昌子源(21)は混乱しながら、トニーニョ・セレーゾ監督からの指示を待つ間、選手だけで「応急処置」を決めた。

 左サイドバック(SB)山本をCBに、SB経験のあるボランチ柴崎を左SBに。しかし急造ラインのスキを見逃してもらえない。縦パスを送られ、クリアできなかった球をマルキーニョスが左クロス。柴崎は中に絞ってカバーに回ったが届かず、決勝ヘッドの小川は、昌子と山本の間でフリーになっていた。

 セレーゾ監督は控えCB山村に指示を伝えている最中で、「ボールスピードが私の判断スピードを上回った」と悔やむ。青木退場から山村投入まで5分。失点の1分前だった。CB初体験の山本が「不慣れなラインの裏を突かれてマークがずれた」と説明すれば、昌子も「最善の策と思ったけど、俺の統率が…。人生で最も悔しい負け」と下を向いた。

 2人が口をそろえたのが「何が起きたか映像を見ないと分からない」。百戦錬磨の鹿島には珍しいコメントが、ドタバタ劇を物語った。【木下淳】