<J1:清水1-0仙台>◇第9節◇26日◇アイスタ

 仙台はアウェーで清水に敗れ、2試合連続の完封負けを喫した。チャンスの数では上回りながら決めきれず、後半18分にクロスから失点。攻撃面での精度を欠く課題をまたも露呈し、今季9試合で6度目の無得点に終わった。

 やはり日本平には魔物がすんでいた。試合開始直前に、前日25日の練習中に腰を打撲したDF鎌田の状態が良化せず先発を回避するアクシデント。3試合連続完封勝ちと勢いに乗る清水を前半わずかシュート1本、90分でも3本に抑えながら敗れた。今季9試合810分で、いまだ流れからの得点はゼロ。渡辺晋監督(40)は「パスの受け手の問題もあるので、練習からもっとやっていく」と厳しい表情で語った。

 かみ合わない攻撃を象徴する場面がいくつもあった。前半37分、右MFの太田が中央に入って「ハヤト!」と逆サイドの佐々木を呼び、ロングパスを引き出してDFラインの裏へ抜けた。清水の弱点を突く理想的な展開だったが「ウイルソンが見えてたのに通せなかった。あれがポイントになってしまった」とラストパスの乱れを悔やんだ。

 脅威を与え続けた太田の走りを、周囲も生かし切れなかった。GKと1対1になり得る動きを何度も見せたが、ボールは来なかった。太田は「出してほしかったけど、話し合えば改善できる」と前を向いたが、決定的なパスを出せる選手の不在が深刻な得点力不足につながっている。

 前節終了時点でリーグ最多150本のクロスを放ちながら、1度もゴールにつながっていない。シュート決定率5・3%は、最下位徳島に次ぐリーグワースト2位。選手たちが「最後のところでためらってしまっている」と口をそろえるように、結果が出ないことで判断に迷いが生じている。エースのウイルソンもいまだ無得点。呪縛から解き放たれるには、自信を取り戻すしかない。【鹿野雄太】