「美(ちゅ)ライン」で攻撃を一変させる。J2札幌は16日、札幌宮の沢で紅白戦を行い、MF上里一将(28)とDF上原慎也(27)の沖縄コンビが主力組に入った。明日18日の千葉戦は、上里が今季初、上原慎は7戦ぶり先発が濃厚となった。2人同時出場は昨年9月15日の栃木戦以来23試合ぶり。ボランチ上里の正確なサイドチェンジと、左サイドバック上原慎の攻撃参加を武器に、6戦ぶり勝利をつかむ。

 復帰組を適所に配置し、トンネルを脱出する。沖縄コンビを主力に加えた財前監督は「2人が入ると攻守両面で活性化する」と期待した。4月26日の岡山戦から5戦2分け3敗で、わずか3得点。昨季、中盤の核になった上里の展開力と、開幕7戦の好成績をけん引した上原慎の縦への推進力を、反攻への起爆剤にする。

 右ボランチから逆サイドにつなぐ今季初の“美ライン”で攻撃の幅を広げる。「ダイナミックにコートを広く使うサッカーができれば」と上里。全体練習後には上原慎に「いけるときは前に出てほしい」とリクエストした。「カズさんからは、長く正確なボールが出てくる。どんどん前に仕掛けて相手DFを下がらせたい」と上原慎。相手守備網をこじ開けられずに苦戦した最近5戦だが、今度は敵を前後左右に揺さぶり、スペースを生み出す。

 セットプレーにも期待がかかる。昨年4月14日の徳島戦では上里のCKを上原慎が頭で合わせ逆転勝利した。「去年も決めているし、今年も狙いたい」と上原慎。南国育ちのホットラインで、熱い1勝を呼び込む。【永野高輔】

 ◆昨季上里と上原慎がともに得点に絡んだ試合

 4月14日の徳島戦で上里が後半10分に右CK、29分に左CKで全得点をアシスト。上原慎がヘッドで合わせた2点目が決勝点になり、2-1で逆転勝利した。7月20日の松本戦では、前半31分に上原慎がヘッドで先制点、後半15分には上里が右CKで3点目をアシストし4-2で勝利した。どちらかが得点に絡んだ試合は計9試合あり、7試合が複数得点と、攻撃が活性化される傾向にある。