清水は2日、竹内康人社長(54)らが静岡市役所を訪れ、田辺信宏市長(52)に新スタジアム建設の要望書を提出した。竹内社長は「より多くの方々に素晴らしい環境でサッカーを楽しんでもらいたい。また、町づくり、活性化に寄与すべく、静岡が元気になるシンボルになるようなスタジアムをお願いしたい」と述べた。田辺市長は「市民の心の公共財であるエスパルスからこのような要望書が出されたことを起爆剤にして、市議会で相談していきたい」と返答した。

 現在の清水の本拠地はアイスタ日本平だが、13年から実施されているJリーグライセンス制度の施設基準、「観客1000人あたり、洋式トイレ5台以上」や「スタジアムの観客席すべてを覆う屋根を備える」などを満たしていないという。この状態のままだと、いずれ何らかの制裁が科せられる可能性がある。そのため、J1クラブは近年、新スタジアムの建設、改修に動きつつある。G大阪は4万人収容のスタジアムを15年秋に完成予定だ。

 新スタジアム建設の要望は、来年4月からスタートする静岡市の第3次総合計画の一部として審議されることになる。現在、さまざまな要望を集約し11月の市議会で第3次総合計画が決まる。

 同席した清水ユース大榎克己監督(49)は「サッカー王国と言われてきたが、最近は全国で勝てていない。もう1度サッカー王国静岡を立て直すためにも、我々もいい選手を育てる努力はするが、市も今まで以上にサッカーを前面に出して行くべきだと思う。国立も新しくなり、静岡でもぜひシンボルとなるスタジアムを造っていただきたい」と訴えた。【大野祥一】

 ◆Jリーグクラブライセンス制度

 ドイツサッカー協会が制定し、その後、ヨーロッパサッカー連盟(UEFA)も導入。08年11月には国際サッカー連盟(FIFA)も導入した。Jリーグでは13年のシーズンから導入された。競技、施設、人事組織、法務、財務と5分野で56項目あり、その中でA、B、Cと3つの等級がある。Aは達成しなければ、ライセンスが交付されない必須条件。Bはライセンスは交付するが処分対象に。Cは交付に影響はないが、推奨される項目となっている。