<J2:富山0-2札幌>◇第37節◇19日◇富山

 石井の新婚弾でプレーオフ圏に勝ち点3差!

 J2札幌は富山に勝ち、3試合ぶりの勝ち点3を獲得した。0-0の後半5分にMF石井謙伍(28)の22試合ぶりのゴールで先制すると、同38分にFW都倉賢(28)が2点目を決め、突き放した。DF陣も奮戦し、8試合ぶりの完封勝利となった。勝ち点を52に伸ばし、プレーオフ圏6位山形とは3差と再接近した。

 鮮やかな連係だった。0-0の後半5分、MF上里のロングパスに反応した石井が左サイドに抜けだし、胸トラップ。完全に相手DFの裏を突いた。「練習から詰めていた動き。カズ(上里)君とのアイコンタクト。最高のタイミングでパスが出てきた」。GKの位置を見定め、冷静に右足アウトサイドで放ったシュートは、右ポストに当たりゴールに吸い込まれた。

 バルバリッチ監督(52)は石井のゴールに「ワイドの選手が前の選手を追い越す動きを求めていた。それをプレーで表現してくれた」と喜んだ。最下位相手に前半は無得点。厳しい状況を打破したのは、指揮官が理想としていた左ウイングバックからの攻撃参加だった。負ければプレーオフ圏とは勝ち点8差までふくらむ可能性があったが、下位相手にぶれることなく自分たちのサッカーを貫き、6位に3差と詰めた。

 石井にとっては、うれしい新婚初ゴールとなった。4日水戸戦後に一般女性と結婚し、9日に公表。17日には結婚指輪が届いたばかりだった。「狙っていたからうれしい。指輪着けて、より責任感は増したし、家族のため、もっと頑張らないと、という気持ちが出た」。結婚後初戦だった前節千葉戦は0-2と完敗だったが、今度は自身の祝砲で、新婚初白星に花を添えた。

 3-4-3で、新たな輝きを放ち始めた。4バックではサイドバックをこなすも、DF面の負担が多く、存分に前に出られず、苦闘していた。愛媛時代同様、中盤での左サイドになり「後ろを3人で守ってくれているから、攻めにかける比重を高くして臨める」と言う。FW出身としての武器を前面に、チームに還元できるようになった。

 チーム3戦ぶり得点でプレーオフへの望みをつないだ。次は優勝を決めている湘南。石井は「大事な試合が続く。チームのために続けて点を取りにいきたい」を気を引き締めた。【永野高輔】