川崎FのDF稲本潤一(35)が、29日の広島戦で先発濃厚になった。ゲーム形式の練習では3-5-2の主力組で中盤に入り、軽快な動きを披露。先発となれば9月13日の徳島戦(4○0)以来、今季3試合目。“ホーム”等々力最終戦となる可能性もある一戦に「すごくいい状態をキープしているつもり。1年間、いつ出てもいいように準備してきた」と自信を見せた。

 今季の出場時間はわずか338分。来季構想外が決定的となっているベテランは、こう漏らしたことがある。「僚太や彰悟が真ん中で頑張っている。責任を感じていると思うし、もう少しサポートしてあげたかった」。ボランチのMF大島とセンターバック(CB)のDF谷口が重責を背負うことに、責任を感じていた。多くを語らず背中で示し続けてきたが、練習中は的確な指示で統率。その姿に、大島も「すごく安心できる」。左CBでプロデビューが濃厚なDF車屋は「ポジショニングを言ってくれる。やりやすいです」と全幅の信頼を寄せた。

 練習場まで、都内の自宅は選手の中で最も遠い。それでも毎日一番乗りで、この日も2時間半前から体のケアに努めるなど、準備を怠らない。「ここでしっかり勝ちたい。チーム一丸になってやっていかないと」。3連敗中のチームに、ベテランが手本を見せる。【桑原亮】