山形が7日、東京と小平市内で練習試合(30分×3本)を行い、合計2-0で勝利した。新加入のDF渡辺広大(28)は3バック中央でチーム最長の80分間出場。今季初実戦ながら日本代表FW武藤や元日本代表FW前田らを完封し、守備の中心として抜群の存在感を示した。

 渡辺が、山形での“デビュー戦”を完封勝利で飾った。1本目から3バックの中央で先発すると、いきなり対人の強さとリーダーシップを発揮。体を張って前田を止めれば、的確なコーチングで武藤の突破を防いだ。キャンプでの2週間は体力強化メニュー中心で、紅白戦は前日6日の1度だけ。ほぼベストメンバーの東京を相手に、ぶっつけ本番で結果を出したが「無失点はたまたま。勝てたことだけプラスにとらえて、戦術をもっと吸収したい」と満足する様子はなかった。

 初実戦で多くの収穫を得た。10年間在籍した仙台では4バックが採用されていたため、3バックは初挑戦。「左右のスライドや、どこでウイングバックを行かせるかが難しい。クロスへの対応も良くなかった」と課題を口にした。実際、相手のオフサイドや味方のクリアに助けられた部分もあっただけに「4バックの時と考え方を変えなければいけない」と戦術理解を深めていくつもりだ。

 誰よりも長い時間ピッチに立った背番号3が、山形の守備の柱になることは間違いない。石崎監督は「DFラインの中心になってもらわなきゃいけないから、いろいろな組み合わせを試した」と説明した。出場80分で西河、石川、當間、舩津、宇佐美と3バックを形成。今後も渡辺を中心に、最善の布陣を模索していくことになりそうだ。

 昨季から培われてきた組織力とキャンプの成果も肌で感じた。前線からの連動したプレスが機能し、相手のミスを誘ってショートカウンターから何度もチャンスをつくった。渡辺は「このチームは本当にみんな頑張ってくれる。昨年より強い山形をつくりたい」と言った。東京を完封した手応えを胸に、11年目で新天地を選んだ28歳がさらなる進化を遂げる。【鹿野雄太】