25日に行われた欧州リーグ決勝トーナメント1回戦・第2戦、マンチェスターU(イングランド)-ミッティラン(デンマーク)戦で、ちょっぴり切ない出来事があった。

 ケガ人続出のマンUを指揮するファンハール監督は、下部組織育ちのFWマーカス・ラッシュフォード(18)をベンチ入りさせた。

 プレミアリーグに続き、3試合目のベンチ入りだったが、過去2戦は出番なし。この日も試合前の時点で監督から「今日はプレーするぞ」という言葉はなかった。

 英サン紙(電子版)によると、ラッシュフォードは母親のメルさんに電話。「今日もたぶん出ないから、スタジアムに来る必要はないと思うよ」と、応援に来ないでいいという旨を伝えてしまった。

 だが試合前のウオームアップでレギュラーFWのマルシャルが太もも裏を負傷。急きょラッシュフォードが先発することになった。

 すると、後半18分、同30分と右足でゴール。デビュー戦で2発をたたき込む大活躍で、5-1の大勝に貢献してしまった(2戦合計6-3でマンUが欧州リーグ決勝T2回戦に進出)。

 結局、メルさんは息子のデビュー戦を生で見ることはできなかった。今季、マンUの本拠地オールドトラフォードには何度も足を運んでいたはずなのに、愛する息子のデビュー戦という、1番大事な試合を見逃してしまった。

 それでも同FWは、まだプレミアリーグではデビューしていない。あのスピード、ゴール前での嗅覚、落ち着きぶりからすれば、リーグ戦デビューも間近だろう。

 欧州リーグでの2発は見逃したが、この先、メルさんは何度となくオールドトラフォードで息子の活躍を目にするに違いない。

 【千葉修宏】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「海外サッカーよもやま話」)