大衆紙『ビルト』が先日1枚の写真をアップした。


 そこに写っているのは、とあるサッカーチームの控室。選手たちがすね当てをはめ、ユニホームに着替え、監督と思われる人物がホワイトボードを使いながら戦術指導をしているシーンであることから、何かの試合前の様子だと思われる。しかしその写真で唯一おかしな点がある。その監督が全裸であることだ。


 生まれたままの姿で、レンズに背中やお尻を向けながら、懸命に戦術を指示しているその人物は、岡崎慎司が所属するマインツの新監督、マーティン・シュミット氏。同紙によると、これはシュミット監督がスイス2部リーグのFCラロンを率いていた10年前のものだという。


 では、なぜこんな写真が撮影されたのだろうか? 『ビルト』の取材に対し、同監督はこう答えている。


 「これは“良いこと”をするための活動だったんだよ。元気なヤツは、ハンディキャップを背負った人々を助けることができるからね」。


 詳しい経緯や出版元は不明だが、その写真はカレンダーに掲載され、売上金6500ユーロ(約87万円)が障害者の勤務する工場に寄付されたという。もちろんシュミット監督も事情を前もって把握しており、それに協力する形となったわけだ。


 全裸で試合前のミーティングに臨んでいるその姿だけを見れば、ふざけているのかと勘違いされそうなこの写真。しかしシュミット監督は、サッカーにも慈善活動にも精を出す立派な指導者なのだ。(鈴木智貴通信員)