世界で最も会員数が多いクラブはどこか、みなさんはご存じだろうか?

 2016年9月1日の時点では、2位ベンフィカに約10万人の差をつけ、Bミュンヘンが27万7000人でナンバーワン。なお、7万5000人を超えているのは世界に17クラブ存在し、そのうち7つがブンデスリーガに所属している。同時点のドイツ国内では、Bミュンヘンに続き2位がシャルケ(14万5000人)、3位がドルトムント(13万9100人)、4位がケルン(8万1600人)、5位がボルシアMG(7万7300人)となっており、そして6位ハンブルガーSVは7万5500人ながら、フィリピンやサウジアラビア、フィジーやバミューダ諸島など、ドイツ以外でも43カ国で会員を抱えるほどなのだ。

 ドイツにおいては過去も今も、会員数の多さがクラブの格を判断する重要な指針である。しかし、これに一石を投じたのは、1000人に満たない会員を持つライプツィヒのスポーツディレクター、ラルフ・ラングニック。同SDはラジオ放送局「ドイチェ・ベレ」の取材に対し、各クラブが会員数の増加を目指している現状について苦言を呈している。

 「クラブがどれくらい会員を持っているかは、たいして重要なことではない。私の考えでは、このコンセプトはもう時代遅れだ」

 また、「会員の数が多ければ多いほど、クラブは成長できる」といった従来の考え方についても、「それ(会員数)は(成長には)まったく影響ない。ポルシェ、メルセデス、DHLなどの会社は、何かを決定する時に毎回株主の意見を聞いているとでも言うのかい?首脳陣が地に足をつけ、クラブのために正しい決断をすれば、それで十分なんだ。会員数よりも、ホームゲーム、そしてアウェーゲームにやって来るファンの数に、私は最大の興味を持っている」とコメントした。

 「クラブ会員が多い=スタジアムに来るファンが多い」という図式は成り立つようにも思えるのだが、しかしラングニックSDにとっては「クラブ会員の多さと集客は、必ずしも一致するわけではない」との考えがあるようだ。

 もちろん、彼らには大手飲料メーカー「レッドブル」社の潤沢な資金があり、それゆえの強気な発言であることは否めない。しかし、そこは勝利こそが最も求められるプロの世界。「過去の成功を祝うため“だけ”に伝統というものが存在しているのであれば、(伝統など)私には必要ない」と言い切るラングニックSDは、会員数を増やさないという方針の下、ライプツィヒを上位常連クラブに成長させ、自身の発言が正しいことを証明できるのだろうか。