27日早朝、国際サッカー連盟(FIFA)役員が宿泊するスイスのチューリヒ湖畔の豪華ホテルを司法当局が訪れ、複数のFIFA幹部を含む7人を逮捕した。

 新会長を選出する総会の直前に「金権体質」にメスが入ったことで、不正疑惑にまみれた総本山の信用はさらに失墜した。

 イングランド・サッカー協会(FA)のダイク会長は「FIFAと現在の指導体制にとって深刻な事態だ」と29日の会長選で5選が有力視されているブラッター会長を批判する声明を出した。

 2018、22年両ワールドカップ(W杯)開催地を決定した10年12月の理事会前後から、金銭に絡む醜聞が続く。ブラッター会長は組織改革を訴えてきたが、昨年12月には両W杯の招致不正疑惑の調査を実施した倫理委員会の調査部門トップ、ガルシア氏が疑惑解明に取り組むFIFAの姿勢に疑義を示して辞任する事態も起きた。

 今回の逮捕者には現職の副会長2人が含まれている。この事件とは別にスイスの司法当局が18、22年両W杯の開催地決定に絡む疑惑の調査を正式に始めた。

 FIFAのメディア部門を統括するデグレゴリオ広報部長は「イメージや評判の低下は避けられないが、組織浄化という面ではいいことだ」と平静を装った。しかし、2件の調査の進展によっては理事の大幅な交代など、サッカー界を揺るがす事態につながりかねない。