汚職事件の逆風の下、5選を決めたブラッター会長は「あなた方と一緒にFIFA(国際サッカー連盟)を立て直したい」と熱っぽく訴えた。

 だが、今後4年間の組織運営は難しくなることが予想される。大手スポンサーが契約解除の検討も含めた厳しい姿勢を示すなど外圧はかつてないほど高まり、内部にも亀裂が走っている。

 複数のFIFA幹部が起訴されたことを受け、FIFA協賛社の最高ランクに当たる公式パートナーの米クレジットカード大手ビザは「組織内の問題に迅速に取り組むことを求める。実行できなければ契約を見直す」との声明を出した。さらに、事件の捜査は米大陸やカリブ海地域から世界規模に広がる様相を呈している。今後、幹部に新たな逮捕者が出れば、外部からの圧力は確実に増すだろう。

 「外患」に加え「内憂」にもさらされている。反ブラッターを鮮明にしてきた欧州連盟(UEFA)は、ワールドカップ(W杯)のボイコットをちらつかせる。親しかった南米連盟(CONMEBOL)も、会長選では対立候補を後押ししたと報じられた。長期政権を維持したとはいえ、その足元はおぼつかない。

 ブラッター会長は当選後の演説で、各大陸連盟から選出する理事数を見直す考えを示し、副会長を含む理事の数が他の各大陸連盟の倍以上となっている欧州へ重圧をかけた。一方、南米にはW杯の出場枠を減らさないと確約して懐柔を図ったとみられる。組織をまとめるため、綱渡りのようなかじ取りが今後も必要になりそうだ。