東京からマインツへ移籍した日本代表FW武藤嘉紀(23)が、開幕スタメンの座をグイッと引き寄せた。マインツ市内で行われた昨季セリエA3位のラツィオ(イタリア)との練習試合にワントップで先発。先制ゴールをアシストするなど後半25分までプレーして攻守に活躍し、勝利に貢献した。シュミット監督はこの日の布陣で8月15日のリーグ開幕戦(インゴルシュタット戦)に臨む可能性が高いと明言した。

 マインツ・シュミット監督の口から武藤をたたえる言葉が次々に飛び出した。豊富な運動量で前線から激しいプレスを仕掛け、攻撃では何度もDF裏へ抜け出して持ち味を出した背番号9について、満足そうな表情で、冗舌に語った。

 シュミット監督 ボールを奪う位置がゴールから遠くなる今日のようなゲームでは、ヨシ(武藤)のようにスピードのある選手には黄金の価値がある。今日のヨシは、まるでシンジ(岡崎慎司)みたいに働いてくれた。モチベーションが高く、とても勇敢にプレーしていたし、彼はチームに100%フィットするさ。

 武藤が演出した前半43分の先制点は、監督の言葉通りの展開だった。自陣中央でDFバログンがボールを奪うと高速カウンターを発動。左サイドを抜けてパスを受けた武藤が得意のドリブルで中央へ切れ込み、逆サイドから上がってきたMFマリへラストパス。これが決まった。シュートを打てた状況で「明らかに中のほうがフリーで、自分が打つより確率が高かった」という冷静な判断で試合の流れを引き寄せた。

 その後もサンペリオ、クレメンスと主力が立て続けに得点。シュミット監督は「(ケガの)DFブンゲルトはいなかったが、今日のスタメンのうち8~9人はブンデスリーガでの先発メンバーだと言っていい」と明言。武藤らの開幕スタメン当確を示唆した。

 慌ただしくドイツへ渡り、まだ自宅も決まっていない武藤。だが、調整はすこぶる順調。それを支えるのが、移籍と同時期に結婚を決めた夫人の存在だ。この日も「気を付けていること」と聞かれ「ご飯ですかね。これだけ練習やってたらかなり体重も減るんで。奥さんが、しっかり食事を作ってくれているので感謝したい」と話した。

 今後は8月9日に今季公式戦初戦となるドイツ杯1回戦コトブス(3部)戦、15日にはリーグ開幕戦・インゴルシュタット戦が控える。「もっと自分の良さを知ってほしいと思いますし、自分がどこで欲しいとか、分かってもらえれば特徴を出しやすい」。仲間とのコミュニケーションをさらに密にして開幕に備える。