最高峰のプレミアリーグで奇跡の番狂わせを演じ続けるレスターが、ホームでスウォンジーに4-0で快勝し、次節にも優勝する可能性が出てきた。日本代表FW岡崎慎司(30)は15試合連続で先発し後半28分までプレーした。優勝を目前にしても無得点に悔しさを爆発。あふれ出てくる強い意欲を抱いたまま、マンチェスターUとのアウェー戦で、初優勝を狙う。

 無得点でピッチから退く岡崎の悔しさを包み込むように、スタンドから拍手が降り注いだ。交代した後半28分の時点で3-0。得点者に「OKAZAKI」の名がなくても、働きぶりは称賛に値した。でも試合後も気持ちは収まらない。運動量が落ちた終盤にチャンスがくると、にらんでいたからだ。

 岡崎 1試合何もできなかったら、のたうち回るぐらいの悔しさを自分の内に秘めている。今日も正直90分できるぐらいの体力が余っていた。マインツの時も最後に点を取ったりした。

 チーム得点王(22点)のFWバーディーが出場停止で不在の状況が、余計にストライカーの魂に火をつけた。前半28分にMFマレズのスルーパスに抜けだし右足シュート。後半23分にはこぼれ球を拾い左から放った。試合前、ラニエリ監督から奇跡の初優勝へハッパをかけられた。「これまでは夢を抱いていたが、夢をかなえるときがきた。現実にするんだ。今がすべてのことを出し切るときだ。すべてだ!」。だからゴールしたかった。

 首位を走る過程で、仲間が活躍する姿に気持ちをかき立てられてきた。バーディー、そして17点のマレズ…。「今季どれだけの挫折を味わってきたか…。目の前で結果を出すやつを何人も見てきた。だからといって悔しさだけじゃなく、俺がこのリズムをつくっている自信もある」とプライドものぞかせる。

 そして欲も出てくる。「充実感というよりも、もっとこいつらより目立ちたい。ないものねだりかもしれないが、チームが勝っているおかげで、俺の意欲がどんどん出てくる」。次節のマンチェスターU戦に勝てば優勝の可能性がある。場所は「夢の劇場」オールドトラフォード。降格候補から、プレミア史上最大の番狂わせを演じる舞台は整った。

 ◆レスター・シティFC 1884年にチーム名レスター・フォッセとして創設。1919年に現名称に変更。2008-09年にイングランド3部で優勝して2部に昇格。13-14年シーズンに優勝して、03-04年以来のプレミアリーグに復帰。昨季は14位で残留争いをした。10年8月から12年1月まで浦和MF阿部が所属。岡崎は今季から加入。タイトルはイングランド・リーグ杯3回。UEFA杯(現欧州リーグ)2回、欧州カップウィナーズ杯にも出場している。本拠地キング・パワースタジアムは約3万2000人収容。クラウディオ・ラニエリ監督。