15年に前橋育英を全国高校サッカー選手権で初の決勝進出に導いたMF渡辺凌磨(20)がトップチームへの切符をつかんだ。同年9月にインゴルシュタットの下部組織にあたるU-23(23歳以下)のチームに2年契約で、さらに2年間の契約延長オプション付きの条件で加入していた。

 渡辺は今季ドイツ4部相当のリーグで全29試合中、21試合に出場。チームの中心選手として攻撃的MFで2得点を挙げている。トップ下が主戦場だが、1・5列目や左MFなど複数のポジションでプレー。活躍が認められ26日に、インゴルシュタットと19年6月まで2年間の契約延長を勝ち取った。来季からトップチームでプレーすることが決まった。トーマス・リンケSDは「リョーマ・ワタナベは我々のU-23でファンタスティックな成長を遂げた。すでにトップチームで定期的に、トレーニングや練習試合にも参加している。彼はテクニックとサッカー頭脳の高さを、そこで証明してきた」と日本人プレーヤーに期待を寄せた。

 高校時代に頭角を現した渡辺は、13年のU-17W杯で3得点と活躍。1次リーグのチュニジア戦では後半ロスタイムに決勝点を決めて、チームを首位突破に導いた。15年高校サッカー選手権決勝の星稜戦では、1-1の後半10分に左サイドをドリブルで駆け上がると、ペナルティーエリア内で切り返してマークを外し、右足でゴール左に決めた。試合は延長戦の末、2-4で敗れたが、大会優秀選手36人に選出された。

 高校卒業後はプロには行かず、スポーツ推薦で早大に入学。5月に英国で行われた世界各国の若手を発掘するセレクション「NIKE MOST WANTED」に参加。そこで印象的なプレーをして、日本人初の「ナイキ・アカデミー」入りの権利を獲得。早大をわずか3カ月でやめて、15年9月にインゴルシュタットに加入した。

 インゴルシュタットは現在、ブンデスリーガで2部自動降格圏の17位と苦戦中。来季でのブンデスリーガデビューはチーム次第となったが、日本人28人目のブンデスリーガーに大きな1歩を踏みだした。