セリエAは全日程を終え、ACミランを退団する日本代表FW本田圭佑(30)が敵地のカリャリ戦で初めてキャプテンマークを巻いて先発した。消化試合でモンテラ監督の粋な計らいも1-2で敗れた。本田は自身のSNSで「本当にありがとう」と別れの言葉を述べた。

 本田の3年半を総括する。

 自らリクエストして背番号10を背負い、鳴り物入りで移籍加入。リーグ戦は通算82試合9得点と物足りなかった。手にしたタイトルも国内のイタリア・スーパー杯のみで、今季は事実上の戦力外。選手としてミランで残した結果から考えれば、この3年半は失敗だった。

 本気でミランを立て直そうとした。問題児といわれたバロテリに声を掛け、イタリア人の若手にプロの振る舞いを説き、歴代監督にも直接意見をぶつけた。低迷する名門を何とかしようと、もがいた。内側から組織を変えようと挑戦したが、力及ばずだった。メッシやC・ロナルドとは違う。ピッチで1人でチームを勝たせることができるまでの技量はない。だから、ピッチ外、自分にしかできない組織論から変えようとしたが、できなかった。

 ここまで失敗だらけの人生を歩んできた。G大阪ジュニアユースからユースへの昇格がかなわなかった。中学3年時の挫折が1つのターニングポイント。以降も、失敗をバネに成功をつかんでのし上がってきた。

 人間は過ちから学び、本田は失敗を重ねて本田として存在し続ける。ミランでの失敗を糧に新天地を選び、1年後のW杯ロシア大会で成功をつかみ取る。並行して取り組む起業家や教育者としてではなく、ピッチで選手として、失敗を成功に変えた時に、この3年半が実りになる。【サッカー担当=八反誠】