ハンブルガーSVのDF酒井高徳(26)が、最終節で1部残留を決めた壮絶な昨季を、独紙ビルトのインタビューで答えた。

 チームは昨季、開幕から10試合で2分け8敗と断トツの最下位だった。酒井高は昨年11月18日にギズドル監督から主将に任命され、同20日のホッフェンハイム戦(11節)からキャプテンマークを巻いた。主将となって最初の4試合で2勝2分けとチームを上昇気流に乗せると、最終節のウォルフスブルク戦での勝利で、チームを1部残留に導いた。

 最終節後に涙を流し「本来はそういうタイプではないと思うけど、あの時はそれまで抱えていた重荷が一気に降りていって。僕らは信じていたけど、でもほとんど不可能だと思われていたことを成し遂げたから」と当時を振り返った。

 「あのプレッシャーはすごいものがあった。あれほどのプレッシャーは僕の選手生活で1度も経験したことがない」と話した。だが、残留争い以外にもプレッシャーを感じていた。「頭の片隅にはいつも、僕は国外でキャプテンをした初めての日本人。それがいきなり、ハンブルガーSVがクラブ史上初めて2部に降格する時のキャプテンになってしまうかもしれないという考えがあった。そう考えないようにしようとしたけど、妨げることはできなかった」と、主将という立場が重荷となっていたことを明かした。

 新シーズンでドイツ移籍後7シーズン目を迎える。ドイツでの生活の良さについて「日本だとない落ち着きがあることですね。僕は自然が好きだし、そこだとリラックスできる。キャリアを終えた後も、ドイツに残るというイメージもあります。母はドイツ生まれだし、父が年金生活に入ったら、こっちに戻りたいと思っています。ただ、奥さんにはこのプランの良さをじっくり伝えていかないと」と、引退後もドイツにとどまる可能性を口にした。

 シュツットガルトからハンブルガーSVに移籍して3シーズン目。契約最後のシーズンとなるが契約延長については「まだないです。でも、ここに残ることはイメージできます。ハンブルガーSVでやる気はありますし、モチベーションは高い」と残留を希望した。昨季は主将を務めたが、今季は未定だといい「まだその話はしてません。でもそうなったら誇りに思います。クラブが僕にしてくれた信頼には、毎日の練習から返していきます」と話した。

 最後に今季の目標について聞かれ「いつでも上を目指したいですね。目標は中位かな。最も大切なのは昨シーズンの後半戦に見せた自分たちの基盤となるものを忘れないこと。チーム一丸となって、メンタリティーを持ってやることでうまくいく。1、2試合負けたからと落ち着きをなくしてはダメ」。絶体絶命からはい上がったシーズンを糧に、大事なW杯シーズンに挑む。